「そうね。じゃあこれ買う」
「ふぁ~朝ごはん作らなきゃ えっ 何これ! 座椅子?なんでこんなのがあるの?」
「ちょっと~統さん、統さん起きて」
「ん?なに?」
「リビングになんか座椅子があるんだけど なにあれ」
「あ~あれ うん あの~ 買ったんだよ 良くない?」
「いやいや良くないわよ あんなのがあったら邪魔じゃない 返してきてよ」
♢馬鹿いってんじゃないよ あの黒い座椅子
ポッドキャストで二週も迷って 買って来たんだぜ 「知らないわよ返してきてよ」
♢馬鹿いってんじゃないよ 一回座ってみろよ 「なんでよ」
座り心地もリクライニングも最高なんだぜ 「どうでも良いわよ」
♡なんなのよ こんなの勝手に買ってきて 「良いじゃないかこれ」
私が何にも言わないとでも思っているわけ 「いやいや、いや…」
♢違うんだよ それは百も承知だよ 「どゆこと?」
反対されると分かっていたから黙って買ったぜ ハハハハハ
♡開き直ってんじゃないわ
♢皆これ褒めてたぜ
♡誰が褒めたか知らないけれど迷惑すぎるわ
「これ角度がどこへでも変えられるからホントに楽だわ 無限!」
「思ったより…しっかり」
「思ったより…」
「あぁいいですね これでコタツでこう…寝て あぁすごいふかふか」
「あぁ良いっすね」
「あぁこれ広い…広いっすね座ってみると意外と、あ~良いっすね」
「足も組めてるでしょ、投げ出せれる、あぐらもかける、俺買いだと思うよ」
「誰なのよこの人たちは」
「ラジオの皆だよ。皆この座椅子すごく良いって言ってたよ」
「参考にならないわよ。どうせあなたの家来みたいな奴らでしょ」
「家来じゃないだろ、スタッフだよ」
「家来よ」
『あ~これ良いですねぇ』
「誰こいつ!?きったない声して。きもち悪い…」
「やめろよお前」
「こいつが座った座椅子なんて絶対嫌なんですけど」
「やめろよ。ガミガミガミガミ、買っちゃったもんはしょうがねぇだろうが!」
♢17年目の座椅子くらい大目に見ろよ
♡ソファがあるのにその横に座椅子誰も座らないのよ
♢浮気もしてない酒も飲まない座椅子ぐらいいいだろがい
♡明日の夜無くなっていても私は知らない
「ちょっと待ってよ~」
「そんな怒らないでさぁ ねぇねぇほらここ見て
なんと!リモコンが入ります!ババーン!」
「どうでもいいわよ」
「う~ん よし分かった、こうしよう!おまえの分も、買ってやる!」
「いらないわよ バカじゃないの」
「あっ お前バカって言ったな 一家の大黒柱に向かって!」
「座椅子バカ」
「あ~また言った!」